ティーサロン神戸とは
ティーサロン神戸は、簡単に言うと「お酒を飲まない人のための高級ラウンジ」です。街中で高級なお店をチョイスすると、決まってお酒がついて回ってきます。言い換えると、「大人の楽しみはお酒がつきもの」と言うのがこれまでの考え方でした。
そこで考えたのがこの、ティーサロン神戸です。お酒を飲まない人にとっての大人のお楽しみを創りたい、それが本人自身もお酒が全く飲めない茶道家である、店主の思いです。
では、お酒を飲まない人にとっての大人の楽しみとは一体なんなのか。それは「文化芸術に包まれた時間と空間」と考えております。プロ茶道家の店主はそれまで茶会と言う形を通じて日本の伝統文化の世界でそれをお客様に提供してきましたが、心機一転、英国アンティークで同じ感動をお客様に提供しようと当店を創りました。
360度見回してどこを切り取っても映える空間、穏やかな音楽につつまれながら口に含む極上のお茶。定員わずか5名の小規模なサロンで豊かなひとときを、お酒に頼ることなく過ごして頂くこと。これを日本でも初めて実現したのがティーサロン神戸です。

定員はわずか五名。お客様お一人お一人がプライベートで極上な時間を過ごしていただけるよう、随所に工夫を凝らしております。また、どの角度からどこを撮っても全てが映えるため、写真を撮るポイントを決めるのに悩んでしまうほどの空間。「写真に映え、心に映える」知性とくつろぎの空間、それがティーサロン神戸。
ティーサロン神戸は、お客様に「このためにわざわざ神戸に来ただけの甲斐があった」と思っていただけるよう、常に全力を尽くして参ります。

店主とお茶
店主はそもそもお酒が全く飲めません。そのため生まれてこのかた「酔う」と言う経験をしたことがなく、むしろお酒が絡む大人の付き合いを正直なところ十分には楽しめておりませんでした。全くシラフの状態で、半分氷と水が入ったグラスにペットボトルから注がれる100円均一で売っている烏龍茶を飲み、それに対して1万円~3万円を支払い、ものすごく損をした気分で帰宅すると言う事を幾度となく経験してきました。
そんな横で店主が好きなのがお茶。中学1年生の時に裏千家に入門して以来、なんだかんだでお茶とは切っても切り離せない生活を30年以上続けてきました。特に30歳を超えたあたりで茶の悟りを得、それ以降は「美味しいお茶とは何なのか」と言うことをひたすら追求し続けており、抹茶のみならず煎茶、番茶、ほうじ茶などについても「美味しいお茶」を探し求めてきました。
自分の足で探したり知人のつてを頼って紹介してもらったりなどし、最終的に京都の複数箇所の茶園とつながりました。その後、納得のいくお茶を生産している農園さんと直接取引することで、世に氾濫する混ぜ物だらけのお茶ではなく、純粋なシングルオリジンのお茶を仕入れることが出来るようになりました。 世のお茶の99%は様々にブレンドされており、純粋に一つの畑で丁寧に栽培され、生産・加工・封入まで農園さんが責任を持っているお茶は本当に一握り。店主はそんなお茶の中で、本当に美味しいと自分が納得できるものを長年探し続けていたのです。
当店のお茶は全てが農園さんとの直接取引している、市場に流通しない特上品ばかり。それを炭火と茶釜で湧かした井戸水(布引の水)で淹れ、味わう。これこそ「お酒を飲まない人にとっての大人の楽しみ」として舌と喉をうるおす飲料に適している、と考えています。
お茶へのこだわり
煎茶は京都府相楽郡和束町産の極上煎茶を、茶農園の園主さんから直接仕入れたものを用いております。しっかりとした旨味と霞のようなふくよかな味わいが特徴の極上煎茶。一般家庭では滅多なことでは手に入らない一級品を、オールドノリタケのマルキ印(明治時代・英国輸出用の里帰り品)デミタスカップでお楽しみください。


玉露茶は京田辺産の天皇杯でも受賞経験のある畑から収穫された極上のもの。これを炭で湧かした湯を使って淹れますので、味わいの柔らかさは抜群です。19世紀後半フランスのサン・ルイ製ワイングラスでお楽しみください。
ほうじ茶は煎茶と同じく、京都府相楽郡和束町の3年熟成の極上ほうじ茶。ほうじ茶を淹れてお出しするのは、新しいものでは御座いますが、カリクリスタルと言うハンガリーの職方によるワイングラス。手吹きグラスですので極限まで薄く、ステムもとても華奢な逸品です。ワイングラスからふわっと浮き上がってくる芳醇な香りと共に、極上のほうじ茶をお楽しみください。


烏龍茶は台湾の手摘み金宣烏龍茶を、こちらも農園から仕入れて使用。極上の烏龍茶の証、蜂蜜のような甘い香りと共に抜群の喉ごしを、オールドノリタケのマルキ印(明治時代・英国輸出用の里帰り品)デミタスカップでお楽しみください。
抹茶をご注文いただいたときは、ガラスキャビネットに展示してある茶碗18点の中からお好みの一碗をお選びいただけます。また、会員様向けに自分専用の茶碗をキープしていただける制度も設けております。抹茶は京都市伏見区の畑からとれたシングルオリジンの物と、京都府宇治市に3軒だけ残る茶園のうち、天皇杯で優勝経験のある茶園から仕入れた手摘みシングルオリジンの二種をご用意しております。

店主とアンティーク

店主は過去よりアンティーク家具に興味を持ち、特に故ジェレミー・ブレット氏が主演したシャーロック・ホームズのシリーズに大いに傾倒し、1800年代後半イギリスの空気感に対する憧れは年を追うごとに強まる一方でした。服装もイギリス中流階級の紳士を強く意識し、イギリスの階級社会について勉強したり家具調度品などに対する考え方を勉強したりと、とにかくブリティッシュアンティークをいかに実現するかばかりを考える日々。
気づけば自分の仕事部屋をアンティーク家具で模様替えするなど、いよいよその傾倒ぶりは加速していきました。もちろんその横では茶道家らしく茶道具の収集も続けておりましたが、そんなさなか、店主を担当していた営業さんのとある一言で全ての考えを改めることにしました。
「小早川さん、これをお店でやってくださいよ!」
と言う言葉を頂いたのは、忘れもしない2022年2月8日のこと。英国アンティーク家具に包まれた私の事務所部屋で、営業さんにおいしい煎茶を提供したときに仰った言葉です。
「こんな英国アンティークの素敵な空間で、こんな美味しいお茶を飲めるなんて経験は、本当に誰にでも出来るものじゃありません。これを是非、お店にしていろいろな人に体験させてあげてください!」
この言葉を受け、その30秒後には既に心は固まっておりました。シャーロック・ホームズの書斎のようなお店にしよう、少ない人数のお客様に丁寧に淹れたお茶を味わって頂こう、これまでに無かったお酒を飲まない人にとっての大人の楽しみを創ろう、と言う思いが一気に心の中を駆け巡りました。
そして選んだのが、神戸の観光地・異人館街のど真ん中。数ある異人館ですが、それらは例外なく個人宅、観光スポット、もしくは結婚式場兼レストランばかり。そのため、くつろげる場所と言うのは案外見当たらないものです。 だからこそ、まるで異人館の中でくつろいでいるかのような感じになれるお店があっても良いじゃないか、と考えました。

食器へのこだわり

前述の通り店主はもともと茶道家で、お客様に何百年も前に作られた本物の茶道具でお茶を楽しんでいたく茶会をサービスとして提供しておりました。ですからティーサロンを開業するにあたり、やはり同じようにアンティークな食器でお茶を楽しんで頂きたいと考えるに至ったのは当然のことです。
どうせ英国アンティークでやるのであれば、明治時代に日本で最も主要だった港、神戸から出荷された食器を再び神戸に里帰りさせ、それを用いてお客様をもてなそうと考えるに至りました。故にお客様にお茶を提供する際に用いている食器は、オールドノリタケのものが多くを占めます。
明治時代に外貨を求め西洋向けに作られた数多くの食器達。それが様々な戦乱や災害を乗り越えて神戸に里帰りし、お客様をもてなす。このストーリーを軸にしつつ、ガラス製品はフランスのサン・ルイ製の古い物を選ぶなど、家具だけでなく食器もまたアンティークな雰囲気をより一層演出するものばかり。
店主の趣味の問題もありますが、それ以上にお客様が食器に対して気後れしては本末転倒なので、極端に絵柄に凝ったものは敢えて選ばず、シンプルだけどゴージャスな食器を中心に収集しております。言い換えるなら、元々アンティーク好きだった店主の趣味で集めた食器でお客様をもてなしている、と言うのが当店の特徴と言えます。

最後に
敢えて単純な表現を用いるならば、店主の趣味の世界。神戸の異人館の中で、時を味わいながらくつろぐ事が出来る場所はいままで有りませんでした。そこに突如生まれた「くつろげる異人館」ことティーサロン神戸。明治時代の神戸発祥「ハイカラ」文化を令和の現代に復活させました。是非みなさま、最高のくつろぎのひとときを楽しみにいらしてくださいませ。
店主敬白