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アンティーク家具の歴史

アンティーク家具とは

そもそもアンティーク家具とは何なのでしょう。答えは非常に単純で、「古い家具」と言うだけのことです。しかしただ古いと言っても、その保存状態や原産国、家具そのものの出来映えによってその価値は大きく変動します。当店で使用している家具の多くはアンティーク家具。それも我々の年齢の倍を掛けてもなお足りないほどの歴史(100年以上)を紡いできた家具が多く、アンティーク家具好きな方にとってたまらない空間となっております。

アンティーク家具の本当の価値と言うのは、実はその価格で評価出来る物ではありません。日本の昭和初期以前に作られた家具であれば、数多くの天災や第二次世界大戦の大空襲などを乗り越え、今に引き継がれるために多くの人が命をかけてきたものばかり。つまりアンティークとは、過去の所有者達の命や魂がこもっているものなのです。

アンティーク家具の本当の価値と言うのは、実はその価格で評価出来る物ではありません。日本の昭和初期以前に作られた家具であれば、数多くの天災や第二次世界大戦の大空襲などを乗り越え、今に引き継がれるために多くの人が命をかけてきたものばかり。つまりアンティークとは、過去の所有者達の命や魂がこもっているものなのです。

ティーサロン神戸では1900年代後半のイギリス中流階級の家庭を、現代の感覚を活かして再現する事に重きを置いておりますので、100年以上前のイギリスやフランス、イタリアの家具を、それらの踏んできた歴史的価値を尊重しながら活用しております。

アンティークとヴィンテージの違い

ざっくり言うと、アンティークとは100年以上前に作られたもの、ヴィンテージとは99年以内に作られた古い物、リプロダクトとはアンティーク家具の雰囲気を大事にしつつ99年以内に製造されたものを指します。ちなみにレトロとは、つい最近5年以内に作られた物であっても、古い雰囲気を持っていればOKと言う、ある意味ファッションアンティークの世界。
そういった意味を込めて、当店では明治期以前に作られたものをアンティーク、大正期以降戦前までに作られたものをヴィンテージと呼び、戦後以降に作られたものは一部の例外を除き、取り入れておりません。
前述の通り、アンティーク(骨董)品には過去の所有者達がそれを守り続けてきた歴史があります。ちょっと怖い表現になりますが、ある意味過去の所有者達の生き血を吸って今まで生きてきた、と言い換えることも出来るでしょう。だからこそ、アンティーク品は金銭的価値ではなく、そういった歴史的価値を腹の底で感じながら大切に使い続ける事に意義があります。

当店のアンティーク家具のご紹介

ビューローデスクとハイバックチェア

ビューローデスクは1800年代中盤のフランス製。上部ブックケースにはめ込まれたガラスはとても柔らかく、素材としては「ガラス」と言うより「ステンドグラス」と考えた方が正解でしょうね。実際、ガラス面の仕切りになっている黒い線の部分は全て蝋付けでして、一部ダメージがある部分はベコベコとへこんだりもします。それだけ柔らかいガラスは、現代の徹底的に合理化されたデジタル工業生産では考えられない味わいを持っています。
また、1800年代から今まで生きていたと言うことはすなわち、第二次世界大戦中ナチスドイツによるフランス侵攻を運良くかいくぐってきたと言うこと。今ここで、私の家具として活躍している事に感動すら覚えます。
このデスクは店主が過去に買ったアンティーク家具の中でも最も気に入っている物の一つで、しばしば書き物をするのに使用しておりました。今でもお客様のSNS映えポイントとしてガラスペンやコットン紙を置き、ブックケースにも文庫本を並べる事で雰囲気を作っております。
ハイバックチェアはイタリア産と思われますが、メーカーや製造時期は全く不明。スプリングの具合や雰囲気から察するに、1900年代中盤にリプロダクトされたものではないでしょうか。

本棚

本棚は1800年代後期~1900年代初期のイギリス製。イギリスらしい無骨さがたまらない仕上がりで、良くも悪くもとても無愛想。かなりの量の書籍などが入れられる状態で、元々はイギリスの中流階級が所有していた本をしまっていたことでしょう。
ただ、当時のイギリス人中流階級のステータスの一つとして、「本を沢山もっている」と言うのが挙げられますので、労働者層から成り上がったばかりのロウワー・ミドル(中の下階級)ではなく、きっとそれなりにお金を持ったミドル・ミドル層(中の中階級)が所有していたことでしょう。
戦前のイギリスの物ですから、ビューローデスクと同じくナチスドイツによるロンドン大空襲などを生き延び、今に受け継がれている歴史があります。

ガラスキャビネット

ガラスキャビネットは年代はハッキリしませんが、1800年代後半~1900年代初頭のイタリア産かアメリカ産と考えられます。イタリアとアメリカではずいぶん違うではないか、と言うツッコミもあるでしょうが、実のところ持っている雰囲気や引き出しの象眼はとてもイタリア的。ところが側面はなんとなく古き良きアメリカのテイストを残しております。
私の想像では、アメリカ在住のそこそこ裕福なイタリア人系移民の家庭にあったのではないか、と言うこと。当時のアメリカ的なテイストを含んだデザインでイタリアに発注して作らせ、アメリカの家庭でゆったりと歴史を刻んできたのではないでしょうか。
ちなみに生粋のアメリカ人(イギリス系移民の子孫)が使っていたとは考えづらい状態。と言いますのも、色が決定的に違うのです。生粋のアメリカ人であればもっとイギリス的なテイストを好みますし、つまりもっと焦げ茶色に近く、しかも金具を真鍮にすることで自分たちのステータスを誇示しようとしていたはずです。

ダイニングテーブルとダイニングチェア

ダイニングテーブルは1900年代中盤ぐらいのイタリア製ビンテージ。詳しい経緯はハッキリしませんが、構造の雑さ(そこも味わいの一つです)や猫足の作りの頑丈さがその歴史を象徴しております。
戦前のイタリア製であれば極端にゴージャスになっているか、もっと貧相であるのは確実ですし、構造がもっと繊細緻密なはず(貧富の差が激しかったために)。ところがこのテーブルはしっかりとした象眼が施されており、その割に構造が雑であることから戦後の製品であり、中流家庭がそれなりに増えてきてから、その中流家庭で愛されてきたのだろうと言う事が容易に想像出来ます。
ダイニングチェアは1800年代後期のイギリス製。当時の中流家庭、それもミドル・ミドル層で流行っていた「とても細い足」ではなく、それより若干太めであることから、ロウワー・ミドルからミドル・ミドルに格上げされかかっているぐらいの家庭にあったのだろうと想像出来ます。
当時のロウワーミドルの多くはロンドン市内に住み、ミドル・ミドルはロンドン郊外に一軒家を建てるのがステータスでした。そのステータスを手に入れた人たちが「私たちはロウワーミドルではないのだ」と彼らを見下すつもりで家具をそろえつつも、元からミドル・ミドルだった人たちほどのセンスを持ち合わせ居なかったために、微妙に足が太いものを発注してしまったのではないかな? と考えております。

スモールキャビネット

こちらは1900年代前半~中盤のアメリカ製と考えられます。日本製でないことは、家具の製造メーカーの刻印などがないことから明らか。ではなぜアメリカ製なのかと言うと、ニスの色が違うのです。
少し明るめの赤に近い茶色のニスを使うのは、アメリカビンテージとフランスアンティークの特徴。ただこのスモールキャビネットについては、フランス製にありがちな「軽い木材」ではなく「かなり重い木材」を使用しており、かつ猫足でない事から米国産と推察出来ます。

コンソールチェスト

このコンソールチェストは製造年は全く不明ですが、イギリス産、もしくはフランス産ではないかと予測されます。私がニスを塗り直している(下手でスミマセン)のでぱっと見わかりませんが、元々は南部フランス人が好みそうな黄土色でした。猫足についてはイギリス人が好みそうな細さ。
元々相当な愛煙家の家庭にあったらしく、私の手元に引き取られた時はものすごいヤニ臭にまみれており、手触りもネトネトしていたほど。ですから風呂場に持って行ってマジックリンなどを使ってヤニを徹底除去し、乾燥させるところから作業を始めました。
およそ一週間してから全体をヤスリで削り古いニスを完全に剥ぎ、その上にニス塗りをして本格的なイギリス風に生まれ変わらせました。今ではお手洗いでお客様をもてなす家具として活躍中です。

ネストテーブル

こちらは1800年代後半のイギリス製。優雅な猫足にしようとしながらも、無理にローマ風にしようとした上で妙な無骨さが出てしまっているあたり、確実にイギリス産であることを主張しております。
ネストテーブルとは、日本語に直訳すれば「入れ子テーブル」。つまり大中小とある三つのテーブルのうち、中小の二つのテーブルを大テーブルに格納出来るものを指します。
このネストテーブルは店主がお客様の目の前で茶の点前をするため、自分の膝の高さとテーブルの高さを慎重に検討した上で購入した物です。ですから、普通のテーブル茶道などと言う「まず茶が美味しく点てられるわけがない」スタイルとは大きく異なり、非常にお茶を点てやすい高さになっております。

コーヒーテーブル

1800年代後期のイギリスに、ローテーブルと言うものは存在せず、ソファに座ってコーヒーや紅茶を楽しむ際には、このようなコーヒーテーブルが用いられておりました。この広さがあれば1人分のコーヒーや紅茶のカップ&ソーサーと、ちょっとしたお茶菓子を置くのに十分。
コーヒーテーブルである、と言う時点で100%確実に19世紀中盤~20世紀初頭のイギリス製だと言うことが推察できます。また、天板には象眼が一切施されておらず、むしろ木目の美しさを引き出すために突き板を用いてあります。
猫足っぽい足にはキャスターが付属しており、重量そのものはそこまで無いことから、ロウワーミドルの家庭かロウワーミドルが集いスコッチや紅茶を楽しんでいたようなロウワーサロンで用いられていたものと推察されます。

ワインテーブル

ワインテーブルとはその名の如く、ワイングラスを置くためのテーブル。当店にあるワインテーブルは製造国がハッキリしないものの、象眼の絵柄から19世紀後半~20世紀初頭、イギリス領だったインドで作られたものだろうと推察されます。
高さが若干異なるものが二つあり(象眼模様は似たような感じ)、一つは茶碗を温めるのに使った湯を捨てる”建水(けんすい)“と呼ばれる茶道具を置くのに、もう一つは複数のお客様から抹茶のご注文を頂いた際に複数の抹茶碗を置くのに使用しております。

ワードローブ1

当店の玄関を入り、最初に目につくのがこのワードローブ。19世紀中盤~後半のイギリス製で、デザインの無骨さと木材の軽さ(オーク材)、木目の具合からロウワーミドルが使用していたものだと推察されます。
ミドルミドルであればもう少し良い木材(マホガニーやローズウッド)を用いていたでしょうし、そもそも木目をもっと珍重していたために突き板を貼ってあるものが中心でした。これを当店では、お客様用のワードローブとして使用しております。

ワードローブ2

お手洗いにおいてあるワードローブは、こちらは日本製で大正時代のもの。これはかなり悩みましたが、ヨーロッパ製のアンティークワードローブは決まって奥行きが浅く、当店のトイレにある洗濯機用の防水パンをしっかり隠すのには不十分なサイズでした。
敢えて日本製を視野に入れることで奥行きが十分なワードローブを見つけることが出来ました。当店ではこれを掃除用具入れとして活用しております。

デスク

当店のホームページ作成を含む、あらゆる事務作業をするのに使用しているこのデスクは19世紀後半~20世紀初頭のイギリス製。しっかりした木材(マホガニー)で作られており、天板には木材に応じた落ち着いた色合いの本革が貼ってあります。
このデスクは店主が全てのアンティーク家具の中で最も気に入っており、愛着を持つ一品。このデスクと共に仕事を始めて既に6年以上の時が過ぎており、これから先もずっと私と一緒に過ごして欲しいと思っております。

デスクドロワー

このデスクドロワーは1950年頃~1970年頃のリプロダクト製品。今では当たり前となったA4やA5などの紙のサイズ規格は1911年にドイツの物理学者、フリードリヒ・ヴィルヘルム・オズワルド博士(ノーベル賞受賞者)が考案した規格が原点となったもので、つまり19世紀後半にA4規格は存在しませんでした。
ですので当時のドロワーをいくら探してもA4サイズが綺麗にしまえるものは有りません。しかしどうしてもそういったドロワーが欲しかった店主は長年こういったものを探し続けておりました。
ようやく見つけたのは2021年頭で、見つけたときの喜びは未だに忘れることが出来ません。今では店主の様々な資料やファイルなどを保管するドロワーとして大活躍しております。

デスクチェスト

このデスクチェストは製造年代・製造国ともに全く不明ですが、おそらくバブル期の日本で作られたものと推察されます。ですので、当店には珍しいレトロ家具と言うことです。印刷物を刷るための紙を収納し、プリンタを置くためのキャビネットとして活躍中です。

キュリオケース

同じくレトロ家具として、当店のあちこちでアンティーク食器を飾っているキュリオケース(ガラスのショーケース)。これらはレトロ家具と断言するだけあって、全てバブル期以降に作られたものと考えられます。
ただ、新品で購入すれば軽く100万円を超えていたものもあり、中でもスペインの名家具屋であるバレッサ・バロンティのキュリオケースと、富裕層向けの家具を作っている事で知られる三越家具・ブリュージュシリーズのコーナーキャビネットは大変お気に入り。
バレッサ・バロンティのキュリオケースには当店の会員様専用の茶碗を、三越家具のコーナーキャビネットには、普段お客様のために使用する各種食器をそれぞれ飾っております。

当店には他にも、ここで紹介しきれない様々な家具がお客様の極上の時間と空間を作るためにしつらえてあります。他の家具については是非、当店にお越し頂いて実際に見て、触れてその味わいを確かめてください。

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